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ミニチュアダックスフントがかかりやすい病気といわれるのが椎間板ヘルニア。
「よく聞くけどどんな病気なの?」
「どんな症状がでるの?」
「椎間板ヘルニアになったらどうしたらいいの!」
このようなお悩みにお応えします。
我が家のチロルが2年前に椎間板ヘルニア〈HansenⅡ型〉になりました。
あのときほど「椎間板ヘルニアについて知っておけばよかった・・・」と思ったことはありません。
この記事には、椎間板ヘルニアの原因・症状・治療法・予防法を書きました。
病気を知っているのと知らないとでは発症したときの対処に大きな差が出ます。
ぜひこの記事を読んで愛犬のために椎間板ヘルニアについて知ってください。
- 椎間板ヘルニアについて
- 椎間板ヘルニアの症状
- 椎間板ヘルニアの原因
- 椎間板ヘルニアの治療法と予防法
椎間板ヘルニアってどんな病気?
「ヘルニア」とは臓器が正しい位置から飛び出してしまうこと。
おへそが出ているときは「臍(さい)ヘルニア」、腸管がでている場合は「鼠経(そけい)ヘルニア」などがあります。
背骨を構成する脊椎と脊椎の間にある軟骨が「椎間板」。
椎間板ヘルニアは、この椎間板が変形したり、飛び出したりすることで脊髄を圧迫する病気。
圧迫することで、背骨に痛みや麻痺が生じ、歩行が困難になることもあります。
椎間板ヘルニアには2種類の原因がある
〈HansenⅠ型〉(ハンセンⅠ型)
これは「遺伝」によるもの。
ミニチュアダックスフントは「軟骨異栄養性犬種」と呼ばれる犬種に属している。
この遺伝子は椎間板の中にある髄核が生まれつき硬くなりやすいという性質を持っています。
この髄核は通常柔らかいゼリー状なのですが、この髄核が硬くなって繊維輪に入り込んで亀裂を作り最終的に繊維輪を突き破ってしまい、脊髄を圧迫してしまうのです。
〈HansenⅠ型〉の特徴は、突然発症すること。
さっきまで元気だったのに突然後ろ足が動かなくなった!ということがあります。
3歳~7歳が発症しやすいと言われていますが、老犬になって発症するケースもあります。
愛犬の足がふらついていたり、触られるのを嫌がったり痛がったりしていたら、すぐに動物病院で診てもらいましょう!
愛犬の様子がいつもと違うと思ったらすぐに動物病院を受診してください。
〈HansenⅡ型〉(ハンセンⅡ型)
これは「加齢」によるもの。
上記以外の非軟骨異栄養性犬種に起きやすい。
加齢により繊維輪が※肥厚、変性し背側に突出することで脊柱管内の脊髄を圧迫すること。
「肥厚」とは腫れて厚くなることです。
〈HansenⅡ型〉の特徴は、非軟骨異栄養性犬種がなりやすく、犬種や老化の他に肥満や激しい動き、階段の上り下り、滑りやすいフローリングなどが原因で発症することもあり、比較的緩やかに進行することが多い。
写真はうちのチロルが2年前9歳の時、ハンセンⅡ型になった時のレントゲン写真です。
〇の中の部分がそうです。繊維輪が背側に突出しています。
うちの子の場合は、軽度だったのか安静と投薬治療のみで回復し今はお散歩も行けるし嘘だったかのように走っています。
ヘルニアになったことをきっかけに、それまであったソファやクッション、段差になるものを全部捨てました。
うちの子は加齢でヘルニアになりましたが、いつ愛犬に椎間板ヘルニアが発症するかわからないので段差の少ない生活、体に負担の少ない生活をさせ予防してください。
これで椎間板ヘルニアの原因がわかりました。
では、椎間板ヘルニアになったらどんな症状が愛犬に起こるんでしょうか?
椎間板ヘルニアってどんな症状?
愛犬の様子がいつもと違うというけど、椎間板ヘルニアの症状かどうかどうやって見分けたらいいの?
では、椎間板ヘルニアを疑う症状はどんなものがあるのかみていきましょう。
椎間板ヘルニアを疑う3つの症状
- 歩き方がおかしい
- 運動を嫌がる
- 麻痺を起こす
歩き方がおかしくなる
足がもつれ、おぼつかない状態になり、歩くスピードがゆっくりになる。
運動を嫌がるようになる
個人差はありますが、ダックスは体を動かすことが大好きな犬種。
いつも元気に走り回っていた愛犬が急に動かなくなったり、運動をしたがらなくなったらヘルニアに限らず、なにか問題を抱えている可能性があるので、早めに動物病院を受診しましょう。
麻痺を起こす
背中や首の痛みなど、麻痺を起こすとペタンと座り込んだり、下半身が麻痺すると立てなくなることもあります。
うちのチロルは突然「キャン!」と鳴いた後、背中を丸めて震えだし座り込んでしまいました。
グレード別ヘルニアの症状
椎間板が発生する場所や脊髄への圧迫の程度によって、5つのグレードに分類されます。
グレード1 痛みのみ
脊髄の圧迫が軽度で神経も正常な状態。麻痺はないが強い痛みを感じています。
抱きかかえた時に「キャン!」と鳴いたり、運動を嫌がったり、背中を痛がったりします。
グレード2 軽度の麻痺・ふらつき
足のふらつきがあり、軽度の神経症状はみられるが自力で歩行できる状態。
グレード1の症状に加え、足をズリズリ引きずるような歩き方をすることもあります。
グレード3 重度の麻痺・起立不能
グレード3から重度の分類になり、麻痺を伴います。
後ろ足が動かなくなり、前足だけで歩くことになります。
また前後4本の足を動かすことができなくなることもあります。
グレード4 重度の麻痺・排尿困難
グレード3からさらに症状が進行し、自力でトイレに行くことが出来なくなる。
グレード5 重度の麻痺・痛覚消失
最も重い状態。後ろ足の痛覚を含めた感覚がなくなります。
この状態になると後ろ足をペンチでつまんでも表情の変化もなく痛みを感じません。
この状態までなると回復の見込みが少なくなるので、そうなる前に適切な治療と診断が必要とされます。
ここまで椎間板ヘルニアの原因と症状についてお話してきました、では実際、愛犬が椎間板ヘルニアになってしまったら、どんな治療をするのでしょうか?
椎間板ヘルニアの治療法
椎間板ヘルニアの治療法は主に内科的治療法と外科的治療法の2つに分けられる。
症状のグレードによって治療法を決めます。
内科的治療法〈安静と内服薬〉
内科的治療法の基本は「安静」。
痛いけど、まだ歩けるわんちゃんには症状の悪化を防ぎ脊髄の損傷を修復できるようにしてもらう必要がある。
「ケージレスト」という、トイレ以外をケージで過ごしてもらう治療法があります。
室内で寝かせるのではダメ。ケージの中で動かず安静にしてもらう必要があります。
安静の期間は症状によって違いますが、椎間板が安定する4~8週間ほどと言われています。
内科的治療法は他に、痛み止めや炎症を抑える薬、サプリなどの投薬治療を行い脊髄の炎症を抑えます。
わんちゃんによっては、コルセットを使用することもあります。
愛犬の様子をみておかしいなと思うことがあれば、早めに動物病院を受診しましょう。
外科的治療法〈手術〉
外科的治療法とは主に「手術」のこと。
原因となっている椎間板を取り出します。重度の場合できるだけ早く手術を行います。
術後はリハビリをおこない回復へと向かいますが、後遺症が残ることもあり重度の麻痺の場合は車いす生活になることもあります。
リハビリにはたくさんの種類があります。
神経機能の回復訓練 | 麻痺のある足先に刺激を与えることで、神経の回復・筋力の改善を促す |
運動機能の回復訓練 | ボールやバランスボードなどを使い、筋力増強・バランス感覚の回復を促す |
車椅子の使用(カートセラピー) | 車椅子を用いての固有位置感覚の回復・筋力増加 |
その他にも鍼治療や水中療法、レーザー療法などがあり、わんちゃんに合ったリハビリ療法を行います。
大切なことは術後のリハビリ。
リハビリはご家族の協力が必要です。力を合わせて頑張りましょう。
ここまで、椎間板ヘルニアの症状と治療法について紹介しました。
ただ椎間板は脊椎と脊椎の間にあるので、1か所直しても他の部分で発症する可能性もあります。
大事なのは「予防」すること。
では椎間板ヘルニアにならない為に、愛犬にしてあげられることはなんでしょうか?
次は椎間板ヘルニアにならない為の予防法を紹介します。
椎間板ヘルニアの予防法
遺伝的な部分は致し方ないところもありますが、予防できることはたくさんあります。
日常生活を気を付ければ発症する確率を軽減できるので、飼い主として愛犬の健康管理はしっかり行いましょう!
背骨や足腰に負担をかけない
適度な運動を心掛け、正しい筋肉を付けましょう!
体をひねるような動きやジャンプ、2本足で立つスタイル、段差の上り下りは体に負担がかかるので、過度な運動は避けましょう。
フローリングはツルツル滑りやすいので、カーペットなどを敷いて対策しましょう。
床対策についてはこちらの記事を参考にしてください。
抱っこの仕方
縦に抱く「縦抱き」は腰に負担がかかるのでやめましょう。
首の下とお尻の下の四肢の間に腕を入れて背中と床ができるだけ平行になるように抱くのがいいです。
肥満に気を付ける
体重が重いと関節に負担がかかる。
子犬の頃からバランスの良い食事をとりスリムな体形を維持することが大切。
まとめ
椎間板ヘルニアは突然発症することも多く、飼い主さんはびっくりして戸惑うと思います。(私もそうでした・・・)
今回紹介した症状がみられたらすぐに病院を受診してください、どんな病気も早期発見・早期治療で回復の可能性はあがります。
発症後の家族のケアがとても大事ですが、そうなる前にできるかぎり予防して少しでも椎間板ヘルニアになる可能性を減らしてあげましょう!